壁面登坂型

直接登坂型壁面緑化に用いる植物は、壁に付着する機能を持っており、自ら壁や木を這うように上り、葉で表面を覆うので、昔から建物の外壁や石積み等で普通に見られてきました。
このような壁面緑化は、最も安価な壁面緑化手法である一方、植物自体の特性(吸着力)や付着する壁の表面構造によって大きく影響されるため、この特性や景観への影響を踏まえた植物の選択や維持管理が重要です。

壁面登坂型は、壁の前に付着型の植物を植栽し、植物の登はん力によって壁面を緑化する方法で、補助材は使用しません。

自然土壌を利用することが望ましいく、建築外構の場合、アルカリ性の土壌には注意する必要があります。

水はけの良くない土壌では、礫等を用いて排水性の向上を図り、一方、乾燥しやすい土壌では、有機質資材等を用いて保水性の向上を図れるよう計画します。

根域制限がある場合は灌水装置を設置し、基盤排水を確保するといいといわれています。

緑化にかかる初期コストが他の工法に比べ低い反面、被覆のスピードもそれほど速くありません。

この工法では、生育範囲(被覆する範囲)を限定できないため、放任すると著しく繁茂して不快な印象を与えてしまいます。

繁茂しすぎた枝や肥大した大枝は定期的な剪定が必要で、ナツヅタの熟成した株の場合は一年に一回程度の剪定が必要(高所の作業は専門知識を持つものが従事する必要がある)となりますが、甲子園や立教大学等、存在感のある景観を創出することができるもの利点です。