荷重付加への配慮

屋上緑化ほどではありませんが、壁面緑化でも荷重付加への対策は欠かせません。

植物外壁が軽量外壁材等で仕上げられている場合などは壁面が支持材などを設けた維持管理が必要となります。

また、設置箇所によっては、狭くて作業できない、高すぎて高所作業車が必要、作業にあたって通行人の安全管理や道路の交通を制限する必要があるなど、維持管理コストの上昇を招く要素も存在しているのも事実です。

対象の建物の構造が設置・維持できる強度を持たない場合などは、支持材を自立型の構造物(自立構造物)として、壁面から独立した形で設ける手法もありますが、自立構造物の設置に際しては、風などの影響が大きいため、フェンスなど比較的コンパクトなものがほとんどです。

また、壁面緑化はイベント対応や商業施設等の環境演出の面で普及しつつありますが、プランターや緑化パネル植栽の場合、植物の定植はプランターもしくは専用の緑化パネルに行われます。

プランター、緑化パネルともに負荷を軽減するための容器や土壌の改良が行われていますが、人工軽量土壌を使用しても植物本体の重量と成育するための適度な湿気が必要となるために相当な重さになります。

このため、設計の段階から荷重負荷を考慮した壁面構造とする必要があり、プランターや緑化パネルによる植栽は、新設の建築や大規模な土木構造物等での採用が中心になってしまうと考えられます。

ただし、既存建築物の場合、建築物の構造や壁面の素材・仕上げ、植栽及び誘引(登坂・下垂)のために必要な補助資材を計画設計時に導入しておけば、様々な緑化手法を採用できる可能性はあります。