植物の選択

植物の選択においては、植生、設置箇所の高さと植物との相性、植物の生育と設置方位を考慮する必要があります。

壁面緑化に用いる植物は、各壁面緑化工法に適したものを選択します。

一般的にツル植物の年間伸長量は樹木等に比べると伸長生長で数倍程度、生長が大きいといわれており、早いものでナツヅタ・スイカズラ・フジ類が年間平均2.5m、次はヘデラ類・ムベ・アケビなどで平均1~1.5m、比較的遅いイタビカズラ・テイカカズラなどでは平均0.7~1m程度といわれています。

つまり、高さが約5m程度の建物を全面被覆するのには約2年~4年程度かかります。その他、品種等による注意事項は以下のとおりです。

●果実・果汁の多い品種・・・ムベやキウイ、トケイソウ等のように成長とともに比較的大きな実をつける樹種を用いる際は、落果による事故等が発生、また、ブドウ類やアケビ等の果汁が多い実のなる品種も、衣服や周囲の工作物を汚すといった事故が発生する可能性があるので、商業建築等での使用には注意する必要があります。

●広範性のある品種・・・フジ等は、生育とともに根も著しく大きくなり、植栽地を広範に占有します。

植栽地が狭い場合には、舗装等の基礎下への伸長を抑止するために「根囲い」等の保護養生に配慮することが必要です。

●落葉性の品種・・・落葉性の品種を用いる際には、ナツヅタ同様に、冬枯れして見えることや落ち葉の管理等が課題となります。

しかし常緑性と比較して季節感があり生育が早い利点もあります。設置初期の整備の効果を発揮させるために、常緑性の種と組み合わせて使用する例も多くあります。