壁面緑化の失敗の原因

ツル植物による壁面緑化については、従来からいろいろな場所で行われていますが、せっかく緑化したにも関わらず失敗している例も見かけられます。

その原因としては、壁面緑化を行う都市の建築空間は、植栽基盤の制約や様々な環境圧をこうむるなど、通常の植栽に比べると極めて厳しい条件下にあり、また、植栽後の維持管理が容易に行えないような場所も多いなどがあげられます。

それらは以下のように整理でき、今後壁面緑化を実施する際の留意点としても考慮しておくと有効です。

① 植栽基盤の整備が不十分

② ツル植物の特性に関する知識の欠如、植物選択の誤り

③ 植栽した植物の形状が不適切

④ 活着までの灌水などの養生が不十分

⑤ 肥料切れのため、徐々に生育が衰退

⑥ 繁茂しすぎて下枝の「枯上がり」や、密生による「蒸れ」で衰退

⑦ 雑草繁茂による被圧により衰退

⑧ 灌水管理をせず、干天による乾燥害で衰退

⑨ 排水不良による根腐れにより衰退

⑩ 登坂補助資材の剪定を誤り、壁面に誘引できない

⑪ 強風、生長による自重の増加、樹体の老齢化により壁面から剥離

これらのような原因を踏まえ、植栽基盤の整備を十分に行うこと、導入する植物の適切な選択を行うこと、導入する植物の特性に応じて必要な登坂補助資材を設けること、ツル植物の伸長生長は早いが、被覆するには比較的時間を要すること、などを留意し、計画していく必要があるのです。