ヒートアイランド現象の緩和効果

例えば、東京の年平均気温は、過去100年間に約3℃上昇しています。熱帯夜日数も、ここ数年30 日を超える状況になっており、東京における地球温暖化及びヒートアイランド現象の進行が大変顕著となっていることが報告されています。

この主な要因としては、人工排熱の増加、道路(アスファルト)や建物(コンクリート等)といった人工被覆面の増加と並んで、緑や水面といった自然被覆面の減少が言われています。東京都では、市街地等の緑の創出、ヒートアイランド現象などの緩和のため、平成13 年4 月より、「東京における自然の保護と回復に関する条例(自然保護条例)」に基づき、一定規模以上の敷地を有する建築物を対象に屋上等の緑化を義務付け、緑化の推進を図ることをはじめています。

また、都で設定したヒートアイランド対策推進エリア(都心、新宿、大崎・目黒及び品川駅周辺)を中心に、国、区等と連携し、屋上緑化、保水性舗装等の集中的な対策を推進しており、壁面緑化も本対策事業の一つとして実施されているのです。

このように東京を代表とした用地の取得が困難な都市の現状において、比較的狭い空間でも生育が可能で、しかも植栽面積のわりには経面被覆により十分な葉量が確保できるツル植物の導入による壁面緑化は、今後の都市緑化においてとくに実現性の高い有効な手法です。

また、建築物の外壁のほか、都市内に様々な形でみられる接道部の石塀やコンクリート構造物、道路沿線の遮音壁などに緑化を行うことは大気浄化の面で特に効果があるといわれており、また視覚的にも確認しやすいことから景観形成の面での効果的であるといえます。